むか〜し、むかし。
ずわいがに王国という大国がありました。
いまでは、地球の南半球には、ほとんど大陸がないが、
この時代には、南半球の1/6がずわいがに大陸がしめていた。
ずわいがに王国の最盛期に統治していたのが、えちぜんかおる女王でした。
そのころ、女性と男性の役割はとてもはっきりしていました。
男性は、山で狩りをしたり、
哲学を語ったり、
歌を歌ったりして楽しんでいた。
女性は、いまでいう政治を担っていた。
国の制度をつくり安全や人権を守ることは、すべて女性のしごとでした。
政治にたずさわる女性を、ずわいがに王国では、クラリーとよんでいました。
男性には、選挙権もありませんでしたし、
ましてやクラリーに立候補したいなどと考えもしませんでした。
また、男性も、政治に参加したいなどとは思いもしませんでした。
ずわいがに王国の建国以来130代にわたって女王をはじめクラリー達が国を護っていた。
ずわいがに王国は、とても豊かな国でした。
クラリー以外の女性は、クリエーとよばれる組織で働きました。
クリエーで働く女性はクリエアムとよばれていました。
クリエアムは、毎日、おおくのゲームを開発しました。
田植えゲーム、
稲刈りゲーム、
ダンスゲーム
ハンターゲーム
クッキングゲームなどなど。
そして、開発したゲームを男性にあたえました。
クリエアムは、そのゲームの結果得られる料理やダンスを楽しみました。
あるとき、男性の1人が、政治ゲームをやってみたいと思いました。
男性の名は、harekurani。
harekuraniはクリエアムにうったえました。
政治ゲームをつくってくれ、と。
クリエアムは、政治はゲームじゃないのよ、とさとしました。
それでも、harekuraniはあきらめませんでした。
今度は、男性を説得しました。
「もう、狩りや料理には飽きた。政治ってやつをおれたちもやってみないか。」
でも、男性は1人も興味をもちませんでした。
歌を歌ったり、狩りをしたり、ダンスしたりすることで満たされていました。
「権力って魅力的じゃないか?
女性だけに味わわせていいのか?」
いろいろと説得をこころみましたが、男性達は聞く耳をもちませんでした。
21年のちに、harekuraniは、
「このときに、クリエアムが釣りゲームを開発してくれていたらうれしかったのに・・・」
と語ることになるとは、このときは思ってもいなかった。
そう。
harekuraniはあきらめませんでした。
「えちぜん女王は、じつは、女性に化けた悪魔だぞ」
といううわさをながしました。
「ぜったい他の人にいったらダメだよ。
見てしまったんだ。
えちぜん女王は、女性に化けた悪魔だ。
ぜ〜ったいにだれにもいっちゃだめだよ。」
3人だけに、つたえました。
harekuraniは、寝て待ちました。
全ずわいがに国の男性に噂がひろがるのに、1年とかかりませんでした。
「最近、そういえば、ゲームの開発数が減ってきてないか?」
「ああ、そういえば、えちぜん女王は男性悪魔の化身らしいぞ」
「やっぱりな。なんかおかしいと思ってたんだ。
あの女王の目つきはときどきヤバいもんな。」
「だろ! だいたい『えちぜん』って名前だぜ。
えちぜんっていやぁ、カニだぜ。
おれらずわいは、ヤドカリが祖先だっつーの。」
「よし、そろそろいいだろう」
と立ち上がったのは、harekuraniです。
「このまま女性に政治やクリエーをまかせてはいられない。
いや、女性にまかせるのはいいが、悪魔にのっとられた女性にはまかせられない。
いまこそ、男性は協力して政治やクリエーを改革しよう。」
男性は協力して腕力で政治をうばった。
それから1年後。
「政治ってたいへんだな」
「そうだな。退屈だし。」
「女性があんなに楽しそうだったから
もっと楽しいもんだと思ってたぞ。」
女性達はいら立ちを隠せない。
「こんな政治では、子どもを産む環境さえないじゃない。
しっかりしてよ。
筋肉で国が良くなるとでも思ってるの?」
氣のよわい男性ほど反抗する。
「なにいってんだ。
これでもがんばってんだよ。
子どもを産んでくれなきゃ政治がなりたたないよ。
ほら、経済増加率は人口増加率に比例するとこの本に書いてある。
子どもが増えなきゃ経済はなりたたないよ。
政治がうまくいかないのは、女性達のせいだ。
まったく、女性は、文句ばかりいってないで、しっかりしてくれよ。」
それでも、まだ、すこしは賢明な男性もいた。
女性達に政治のコツを聞きにいったのでした。
女性はしかたなく答えました。
「国じゅうが満足感、しあわせ、愛であふれるちょっとしたルールを決めればいいの。
ルールは、少なければ少ない方がいいわ。
男性がまだ狩りに夢中だったとき、男達のなかで、狩りにはどんなルールがあったの?」
「確実になるまで手を出さないこと。
唯一これがルールといえるだろう。」
「でも、あなた達男性は、
とった獲物をかならず均等に分け合っていたわね。」
「こらこら、それはルールじゃない。
あたりまえのことだ。
だいたい、独り占めなんてしたら、あとでえらいことになる。」
「そうよね。
それが政治っていうものよ。
ルールは最小でシンプルがいいの。」
「わかった。
俺たちだって、そりゃシンプルになるならしたいさ。
でも、どうやってシンプルなルールをつくるんだ?」
「つくるんじゃないの。
シンプルなルールはすでにあるのよ。
それを文章にするだけでいいの。」
「なんだそれ?
禅問答かなんかか?
そんな机の上だけの理論をいわれてもこまる。
具体的に教えてくれないか。」
「だ〜か〜ら〜。
理屈にしてしまってるのは、男性のほうよ。
ルールをつくるなんてことはできないわ。
ルールはもうすでにあるの。
どれを選んで文字にするかだけなのよ。
それを哲学的にとらえてるのは、男性のほうなのよ。
わかった?」
「うん。
なんとなくはわかる。」
「ダメね。
だから男性はだめなのよ。
わかるわけないじゃない。
理屈じゃないんだから分かるなんて無理なのよ。
すでに知ってるんだから。
まったく、ダメね。」
「いったいどういうことなんだよ。」
「どーでもいいわ。
理屈が知りたい人は理屈を研究していたらいいのよ。」
「すまない。
ヒントでもいいから教えてください。」
「また、そうやって謝ってるふりなんてするのね。
まーいいわ。
ヒントだけよ。
あなたの足下の石を半分にしたらどうなる?」
「2つに分かれる。」
「そうね。
その半分をもう半分にするとどうなる?」
「それも2つに分かれる。」
「そうね。
もとの石の大きさとくらべるとどうなった?」
「半分の半分だから1/4になる。」
「そう。
そういう計算はすぐできるのね。
じゃあ、その半分、その半分ってつづけて、
もうこれ以上は分けられないってときが来ると思う?」
「ああ。
来るね。
原子1この状態になれば、終わりだ。」
「バカね。
原子が半分に分けられないってだれがいったの?」
「う〜ん。
だれもいってない。
だけど、きっと分けられないさ。」
「きっとできないと思っていたことができるようになる例はいくらでもあるわ。
ダイヤモンドが人工的につくれるなんて、ずわいがに暦120年のころは、だれも思わなかったわ。
問題は、あなたが分けられそうかどうかではないの。
どこまでも半分にわけようと思えばわけられるわ。
おなじように、どこまでも倍、倍、倍とつなげることもできるわ。
この世界をあたまで理解しようとすれば、限界があるわ。
いつまでも計算が終了しないコンピュータみたいなもんよ。
いつになっても結果が表示されなくなるわ。
そんなコンピュータは使い物になんない。
これがヒントよ。」
「まってくれ。
そんなヒントじゃ、なにもわからない。」
「そう。
男性はいつも身勝手よね。
『ヒントだけでも教えてください』
といったのはあなたのほうよ。
あなたがそのヒントを理解するかどうかはわたしの問題じゃないわ。
だいたいさー、これってブログなんだから、だれもこんなに長い文章を読まないわよ。」
とやってるあいだに、ずわいがに王国は滅びた
らしい。
※フィクションでーす。
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